宝塚歌劇団では上級生が絶対的な存在でもあり、目上の人へ敬意を払うのが当たり前として教えられます。
では、なぜ目上の人を立てなければならないのでしょうか。
いつの世も、明らかに自分より年上であっても自分のほうが優れている。
そんなことは多々あると思うのです。
宝塚歌劇団でも役をいただくのは年功序列ではありません。
上級生よりいい役をもらったり、自分より下級生が前で踊ったり選ばれたりは当然のことです。
仕事においてはできる方が上ではないか?
海外では飛び級だってありますし、実力がある人が上という考えも間違いではないと思います。
ですが、私は経験値というものを大事にしています。
1年でも早く生まれた人は少なくとも自分よりも人生の先輩で経験者です。この経験は大きいと私は思うのです。
私はどんなにできないとされている人でも必ず目上の方は立てるようにしています。
仲良くなると冗談交じりでお互いいじったりすることはあると思いますが、それはある程度親しく関係性を構築していたうえでの話です。
経験値の多さは武器
宝塚歌劇団の公演は1か月半続きます。
1日2回公演もあるので回数にすると結構な数になります。
毎回同じことを繰り返すので、中だるみするときもありますが、初日より千秋楽のほうが盛り上がってよくなっていることは非常に多いです。
社会に出たときに、一度だけ小さな舞台に出たことがありますが、その時に自分が7年間という長くも短くもいえるこの期間に、つんできた経験はすごいことだったんだなと思いました。
歌の実力・お芝居の実力・ダンスの実力、それらはもしかしたら自分より上の方かもしれませんが、舞台経験は場数をどれだけ踏んでいるかがポイントなのです。
その経験値でいくと断然私のほうが経験を多く積んでいる分、舞台慣れはしているのです。
社会人になり大きな舞台で司会をさせていただく機会を何度かいただきました。
あの宝塚大劇場のライトの感覚、客席が真っ暗で何一つ見えない中ライトだけが自分を照らしている瞬間。
ライトに吸い込まれていきそうなこの状況と気持ちよさはなにものにも変えることができません。
これも宝塚大劇場での経験があったからこそ得られたチャンスでした。
本番に強い理由
よくお稽古をしているときに、
「本番はできるので」
といって、練習中は本気を出して取り組まない人がいます。
照れ隠しもあると思いますが、私はこれは本番の怖さを知らない人がいう素人の言葉だと思っています。
練習で力を抜いて本番でそれ以上のものが出せることはまずありません。
そんなに練習していなくてもたまたまうまくいったというケースがあったとしても、素人の目はごまかせても玄人からはすぐにわかります。
本番に強いというのは、普段練習をしていて身についているからたまたま本番にその力を発揮できたということなのです。
私の経験上ですが、難しい言葉、言いにくい言葉を絶対に間違えたくないので必死で司会原稿を読み込んでいました。何一つ間違えなかったのに、本番に今までつまったことのないところで間違えてしまったのです。
ショックでなりませんでした!あれだけ他は完璧に読めたのに、こんなところで!?
簡単な言葉だったので反復練習からは外している部分でした。
本番は本当にあり得ないことが起きます。
このことをわかっている経験者は練習から本気で取り組みますので、本番だけ実力を発揮するという発言は出てこないのです。
役者は本番前の緊張感・舞台袖にいるときのにおい・雰囲気が好きですが、同時にとても怖くて逃げだしたい気持ちもあります。
でもそのどちらともが好きなのです。
何事も本気でやっているからこそですね。
そして日々の鍛錬がものをいう。
こういった経験を何度もしている方、それが目上の方なのです。
そう思うと、尊敬の念しかありません。
本日はここまで。
今日もお読みいただきありがとうございました!
ではまた次回のブログで!!
ちなみに私は本番にとても強いです。笑