先日、専門学校で特別講義を行いました。
「宝塚歌劇団から学ぶホスピタリティと夢の叶え方」について
それぞれ、ホスピタリティ業界を目指す学生へ響くように、趣向を凝らして考えてみました。
宝塚で身についたことは実社会で本当に役立ちました。
それも退団したての頃はわかりませんでしたが、10年以上たってじわじわと実感しています。
宝塚歌劇団でもっとも有名なのはラインダンス。
香盤表(配役表)にはロケットと記載があります。
一糸乱れぬチームワークで迫力を見せます。
それはまさに“統一美”。
一人ひとりが美しいのはもちろんですが、それらが集まって同じ動きをそろえるこの迫力!特に初舞台生のラインダンスはとても感動します。
初舞台のお仕事はラインダンス
宝塚音楽学校を卒業すると、劇団員の第一歩、初舞台を踏みます。
初舞台は全員がそろって宝塚大劇場の舞台を踏む最初で最後のステージです。
初舞台が終わると各組に配属されるので、もう全員が一緒の舞台に立つことはありません。
毎日朝から晩までラインダンスの練習です。
振付を受けるにあたり、上級生が「ラインダンスのお姉さん」として指導助手にあたります。
大スターの男役の上級生から直々に指導していただける、怖いような嬉しいような複雑な気持ちでテンションもいろんな意味で上がります。
もちろんタイツにレオタード姿です。
上級生はすばらしいスタイルで美しく見とれてしまいます。
同時に自分たちが恥ずかしくなることもあります。
初舞台生は、運動靴に黒タイツ・黒レオタードに、芸名を胸元にはり練習します。
本番前になると本番と同じぐらいの高さのヒールを履いて練習します。
部分部分で練習を重ね、足を上げながら前に移動したり、左右に全員で移動する振付などがありますので、横から見てラインが曲がらないように何度も何度も練習します。
足首を痛めたり、腰を痛めたりと故障が出てきます。
なかなかそろわない動きにイライラし始めたりすることもありました。
宝塚音楽学校の時、徹底的に連帯責任を教えられましたが、まさにここでいきてくるのです。
統一美
これはチームワークが相当よくないとなかなか難しいのです。
特に大劇場の横幅は40名が並ぶとぎりぎりです。
だいたい背の順で外側が男役、内側が娘役になるように中低でできています。
やんわり半円を作るとき、小さなグループで円を作るとき、そこからまた一列になるとき、一列のまま前進するとき・・・
何度練習したことでしょうか。
おそらく同期全員、この時のこの振りだけは忘れたことがないと思います。
そして、統一美の美しさを改めて感じます。
日本の学校では、制服やスーツなど、お揃いのものが多くあります。昔制服で整列をしている姿を海外の方が見てとても驚いておられました。おかしかったのか笑っていらっしゃったぐらいです。
何がおかしいのかわかりませんでしたが、一度に全員が同じ服を着て行動することが外国では意外なのかもしれません。
初舞台の決意表明“口上”
初舞台では“口上”と呼ばれるいわば決意表明のようなことをするシーンがあります。
紋付き袴が宝塚の正装になります。それを着て毎日交代で口上を述べるのです。
私たちの期は芝居の合間に組み込まれており市松人形のような風貌で口上をしました。
男役も女役もみんな市松人形。
懐かしい思い出です。
その時のことを思い出すと、あらためて背筋が伸びる思いです。
退団してずいぶん経ってから、このような話をするとは思いませんでしたので、新鮮でもあり同時にあらためて身を引き締めて「清く 正しく 美しく」宝塚での出来事を今の自分の戒めとして振り返るいい機会をいただいたと思います。
個性ある一人ひとりが左右と同じようにそろえて行う統一美は、美しい宝塚の文化だと思います。
宝塚音楽学校での統一美
宝塚音楽学校の予科生では細かい規律とルールがたくさんで覚えることがいっぱいでした。
すべてが細かく決められていました。
名札の位置、校章の位置、ベルトの位置、そして上履きなどは同一の文字で名前を書くことが義務付けられていました。
つまり、代表で1名が全員の上履きの名前を書きます。
そしてその上履きを履いた時の足の角度も実は決まっています。
予科生のころから横一列に並ぶときは、横を見なくても互いの距離感で合わせていくことを覚えました。
いまだに横の人と立ち位置を揃えてしまう癖は抜けません。笑
これは職業病ですね。
本日は統一美についてお話いたしました。
あのときの躾けはこういうことだったのか!と気づく場面がこの後もいろいろ出てきます。
また次回のブログでお伝えしますね。
本日も最後までありがとうございました。