宝塚歌劇団退団後、秘書業務についたことがあるとお話ししました。
不動産会社での秘書経験ともうひとつ、ホテルでの秘書も経験しました。
ここではホテルのトップである総支配人付きでした。
名刺の肩書は“総支配人付秘書”
この肩書がよくて応募したと言っても過言ではありません。笑
最終ステップまで進み、総支配人との最終面接。
そして採用していただくことができて、秘書業務のスタートです。
ホテルで働くのは初めてでしたが、主な秘書業務としては
総支配人のスケジュール管理
航空チケットの手配・精算
会議のスケジュールやアテンド
他部署の方と総支配人のアポイント設定
会議スケジュール
総支配人の名刺整理
お礼状作成
書類決裁手配
会議の議事録作成
VIP対応
手土産手配
などなど通常の企業とそう変わることはありませんが、秘書というお仕事は付く上司によって働き方も業務内容も変わります。
秘書の“秘”はマル秘の秘。
と以前の会社で教えられていましたが、これも部署によります。
本当に秘密を知っている秘書もいれば、ボードメンバーといって経営者陣だけで秘書は入らない会議などもあったりします。
※定時でしっかり帰ることができてお休みも自由にとれる業務時間内で就業する秘書もいれば、運転手からゴルフ・会食まで同行し、休日でも連絡が入ったらすぐに飛んでいかなければならない秘書もいます。
私は主にこのボードメンバーの会議の議事録も取っていましたが、人事のことなど未発表のことについてはもちろん口外無用ですし、議事録にも残さないこともあります。
秘書業務はとてもやりがいのあるお仕事ですが、同時に自分がスケジューリングしたことで上司に迷惑をかけてしまってはいけないためプレッシャーでもあるお仕事です。
総支配人はとても穏やかで優しい方だったので、前回のハードな職場に比べて私にはとてもよい職場でした。
秘書席は総支配人室を出たすぐのところにあり、総支配人にご用事がある社員の方たちは総支配人のご予定を確認しに来られます。
もちろん、プライベートなスケジュール以外は公開していますので、不在や会議の時などはわかりますが、それ以外のときは直接足を運ばれることが多いのです。
秘書席には少しカウンターのような仕様の部分があり、みなさんそこに手をかけてまるでバーのように肘をつかれることがあります。
あるとき、秘書席の近くにドリンク置き場ができました。
皆さん、そこでドリンクを入れカウンターに来られて小話をしていかれます。私が休憩の時に食べようと思って用意していたチョコレートを差し出したりしているうちに、会話が弾みいろんな方とお話できるようになりました。
もちろん、こちらで話していることは、総支配人室の中には聞こえないので、お邪魔にもなりません。
様々な部署の方からいろいろと情報をもらうことができ、とても有意義だったのを覚えています。
皆さんが喜んでくれるなら、こんなのはどうかな?と日々考えながら負担にならない程度にちょっとした疲れをとるお菓子を準備していました。ここでも私はやっぱり人に喜んでもらえることを考えるのが好きなようです。
私自身もとても癒しになりました。
私が秘書として採用された本当の理由
そんなある日、総支配人の旧知の友である有名な会社の会長様とのお食事に同席させていただけることになりました。
会長様とのお話の中で、総支配人がこうおっしゃいました。
本当はね、あなたより英語もできて秘書経験もあっていわゆるできる秘書の方はたくさんいたんだよ。でもあなたを採用したんだよと。
理由は、できすぎる秘書は疲れるから。
ふつうはショックを受けるところかもしれませんが、私はとても嬉しく思いました。
必ず優秀な方が選ばれるのだと思っていましたので、私の何がよかったのかは聞いてみたいと思っていたからです。
もちろん宝塚歌劇団出身とあれば、ある程度の素養はあると認められたのかもしれませんが、本当の理由はそこにあったようです。
秘書になるには、実力だけでもないということですね。
採用される方にとって、お仕事がしやすい環境・癒し(になっていたかはわかりませんが)の環境を作れる人材も必要なのだとそう思いました。
ただ、次のステップとしてやはり英語力は磨いたほうが仕事の幅が広がると教えていただきました。
経営者は常に孤独で気が抜けないお仕事です。
お側でサポートする役割である秘書は優秀でなくては、事務処理をこなすことはできませんが、ほっと一息つくときに気が利く・気くばりができる人がいると助かりますよね。
お礼状の文章はオリジナルで
総支配人は会食も多い方でしたので、お礼状を書くことが多く私の文章力も少しずつ鍛えられていきました。
何でも経験がものを言いますね。
使い慣れていないとなかなか言葉が出てきません。
ここで、語彙力の大切さを知り、秘書としてまだまだ勉強しないといけないことがたくさんあると思いました。
いくらビジネス文書といってもありきたりの定例文を書くのは、自分自身がいやでした。私でなくてもかける文章はいらない、そう思っていろんな例文や手紙の書き方の本を読み漁り練習しました。
そして総支配人がそれを見て、ペンを入れられます。
最初はほぼ総支配人が書かれた方が・・・と思ったこともありましたが、慣れていくうちに添削も少なくなり、OKをいただくようになりました。
それぞれの言い回しなどもここでポイントをつかむことができたようです。
私はもともと便せんやシール・カードやはがきなどを見つけると買ってしまう癖があり、コレクションしてしまいます。
使うのがもったいないと思うほどかわいいカードを海外でみつけたときは、レジに行って金額を聞いて桁が違うのでは?と思ったほど。でもそれらも使わないともったいないですからね。
日本語はとても美しい言葉です。
語彙力を高めて気の利いたことばを届けたいですね。
新しい旅立ち
総支配人が異動になり新しい総支配人が来られるというお知らせを受けました。
前総支配人の任期が終わり、後任の総支配人の方もさらに秘書の手がいらないのではないかというぐらい、お仕事がお出来になる方でした。
あっさりとした性格の方で、人付き合いもあまりなさらなかったためアポイントや異動が極端になくなり、私の業務も減りました。
そんな折、友人の紹介で新しい環境へのオファーがやってきました。
私は常にステップアップを考えていたのと、40代を迎えるにあたりこのままの環境では物足りないと思っていたので、勢いよく転職の意向を総支配人に伝えました。
もちろん、最初は反対されましたが、理由をお伝えすると
会社はあなたの人生をどうにかできるところではないから、自分のしたいようにするべきだと思うよ。
新しいお仕事はとてもよさそうだしやりがいもあり楽しそうじゃないか。
ぜひ行ってらっしゃい!
拍手して送りだしてあげるよ。
そう言ってくださったので、気持ちよく去ることができました。
これも目の前のことを一生懸命やっていた私の頑張りを見てくださって、常に成長できる場所にいきたいという思いをわかってくださる気持ちや理解が総支配人にあったからだと思っています。
会社は箱で私の人生まで保証してくれるわけではなりません。
この会社で私は何を強みとして活かすのか、どのような成果を残し自身の成長につなげるのかを学んだ気がします。
お二人の総支配人との出会いは、私にとって秘書というお仕事をまたやってみたいと思えるほど素敵な上司でした。
本当に感謝しています。
さて本日も長くなってしまいましたが、秘書時代のお話をしました。
秘書こそ気くばりが重要になります。その方にあわせたオリジナルの対応。
まさにホテルのコンシェルジュ。
短い間でしたが、ホテルでの私の経験でした。
ではまた明日のブログで!!